今回、日本初上陸となるBFF(Bicycle
Film Festival)。
本国・アメリカでは、一体どんな雰囲気なのでしょう?!
BFF東京事務局は、10月5-8日に開催されたBFFサンフランシスコに、
京都在住のタクヤを特派員として派遣。
興奮冷めやらぬ彼の、熱いレポートをご紹介します。
ピロリロ〜 ピロリロ〜
「はい。もしもしタクヤです」
「こんばんはー。横浜のヤナケン(*1)です。
タクヤさん、サンフランシスコに行ってもらえませんか?」
「あぁBFFの件ですね。今お金が8000円しか無いんですけど…」
「飛行機代は何とかします」
「エエー!いいんですか?ヤッター」
「で、明日横浜に来てもらって、明後日のフライトではどうでしょうか?」
ニート予備軍の僕でも一応仕事はしているので、無茶なスケジュールなんだけど、 平均睡眠時間3時間のヤナケンからの指令であれば、断るわけにはいかない。
第一SanFranciscoに行けばBurrito(*2)が食べられる。
SuperVegitarian(*3)がうまいんだよ。
「ハイ。ぜひ行かせて下さい!」
というわけで、京都メッセンジャーKAZEの皆から貰ったカンパを握り締め、
サンフランシスコに降り立ったのであった。
さすがNYで7000人を集めたBFFだけあってリムジンがバーンとお出迎え… な訳はなく、それどころか電話も通じない。
SFで誰かにあげて帰るつもりで、鴨川からサルベージしたママチャリが詰め込まれた箱を エッチラかかえてバスに乗り、とりあえずDowntownに向かった。
「ヘイ!そこのユー!メッセンジャーのユー。BFFのブレントを知らないかい?BFFっていうのはBicycle
Film Festivalのことだよ」
「オォー!BFFはモチロン知ってるぜ!最高らしいな。でもブレントって奴は知らねぇな。One-Postに行ってJoに聞いてみな。幸運を祈ってるぜ」
「ヘイ君がJoかい?BFFのブレントって知らないか?」
「知らねー。ユーもメッセンジャーかい?今からランチにBurritoを喰いに行くけど、来るかい?」
「行く」
---3時間ほど中略---
「ユーがブレントだな。やっと見つけたよ」
「オォー。ヤナケンのフレンドだね。ナイストゥーミーチュー。おいニック。手伝いに来てくれたTokyoのマイフレンド…ええっと何て名前?」
いや、Kyotoやし。それに手伝いに来た訳や無いんやけど…。
今回の使命は、BBF-SFを視察し、主催者とミーティングし、 終わり次第BFF-Tokyo用のコンテンツを日本に持って帰ることなのだ。
結局そのまま手伝うハメに。
さっそく会場のVictoria Theatreに向かう。
重いものを運んだり、軽いものを運んだりしているうちに
会場の前に人がワラワラと集まってきた。
当然みんな自転車である。
「ハーイ。何時にオープン?」
「18:30だよ。まだ1時間はあるよ」
「ヘロー。開場は何時?」
「18:30ってそこに書いてあるだろ。もうちょっと待ってて」
「ワッツアップ?何時から?」
「18:30」
「ヨー!何時に開くんだい?」
「よーく聞いてくれ。誰か同じ事を聞く人がいたら開場18:30、開演19:00って言うんだ。OK?ナチョスを喰いながらでいいから」
「ミー?OK、No Problemo.で、何時オープンだっけ?」
開場30分前には歩道上には駐輪スペースが無くなり、車道にBike Treeを作る。
ピスト、MTB、タンデム、折りたたみ、ロード、クルーザー、チャンクバイク、何百台ものありとあらゆる種類の自転車が、仲良く並んでいるのは圧巻だ。
入場待ちの列は会場のある16th St. から17th St.まで伸びている。
通りがかりの自動車から手を振って応援するドライバーも大勢いる。
メッセンジャー達は、紙袋で包んだ小瓶のビールを友達と話しながら飲んでいる。
多分バークレーからリカンベントで来た、見るからにインテリの白ヒゲに眼鏡のジェントルマンは、時間を惜しんで難しそうな本を読んでいるが、興奮して落ち着きが無さそうだ。
old-schoolなパンクルックのグループも、ソワソワしながら奇声を発している。
自作のCritical Mass Tシャツを来た初老の御婦人は、ニコニコしながらそれを見ている。
人数もさることながら、自転車という接点でこんなにも色々な種類の人達が集まったのには、ちょっと驚いた。
あまりの人の多さにスタッフが足りず、僕も急遽チケットのもぎりをする事になった。
しかしトイレを使いたい人達を、僕が開場時間になる前に入れてあげたばっかりに、 群集が津波のごとくドアに押しかけて列が崩れて取り囲まれ、 なしくずし的に開場することになってしまった。
チケットをもぎってももぎっても次々に人がくる。
「楽しんでね」「来てくれてサンキュー」と声をかけていたのだが、 途中でろれつが廻らなくなってしまい、 そのうえ話し掛けてくる人がいると後ろが詰まってしまうので、英語が話せないふりをして
「DomoArigato!」
と挨拶することにした。
アメリカの映画館は立ち見をさせないので、席数がいっぱいになり次第ドアを閉めてしまう。
予定では1階の300席のみ使い、2階のバルコニー席は使わないはずだった。
でも1階はあっという間に埋まってしまい、2階のバルコニー200席を開場して誘導するが、それも直ぐに満席。
2日目のプログラム6では500席で打ち切ったところ入場できない人が数百人もいたので、深夜12:00から再上映することになったほどだ。
再上映をやってなかったら暴動がおきてたね、多分。
BFFはこんなに大勢の人が集まるにも関わらず、Brendtとほんの数人の開催地のスタッフによる手作りのイベントだ。
観客が映画を見ている間にもスタッフには雑用がまっている。
でも飛び入りスタッフの僕は、上映中は仕事から外してもらい、出来るだけ映画を見せてもらえることになった。
つまり、やっと本来の仕事にとりかかることができた。
席はないので通路の一番後ろで立ち見だ。興奮している観客が見渡せる。
ワイワイがやがや映画館と思えないムード。
上映時間がきてBrendtがステージに上がり挨拶を始めても、パーティーのようなざわめきは収まらない。
「もう映画は上映せんでも、このままで充分楽しいやん」とすら思えてくる。
客席の照明が消え、真っ暗な場内には、話声が少なくなっていくに連れて別の興奮、 これから始まる映画への期待が、熱気となって立ち込めてくるのが感じられる。
心地の良い緊張感を皆が共有しているのがわかる。
プロジェクターが作動しはじめて、スクリーンに黒色以外何も無い画面が映し出されただけで、緊張に耐えられなくなったのか拍手をはじめてしまう人達もいた。
|